逆説の日本史 9
☆逆説の日本史9 井沢元彦
日本史を、まったく新しい角度で切り取る井沢さんの歴史論文エッセイ。
旬を過ぎてますが、二十一世紀初頭に話題になった本です。
第九巻にあたるこの本には、
琉球国の話
倭寇の話
戦国の時代の定義
武田信玄の限界の話
織田信長の天才性について
が書かれています。
なぜ、いきなり第九巻からご紹介なのかというと。
単純に、戦国のことを調べたくて、この本を図書館から借りてきたんですが、非常に面白くて、1日で一気に読み終えてしまいました。
倭寇には、二種類あって、初期のころの日本人が主体だった倭寇と、朝鮮や中国の人たちが主体になった倭寇がある、というところも面白かったんですが、この説がどの程度まで信じられるかは、また別の話だよなとか思ったりしました。
あと、鉄砲伝来は、偶然の出来事ではなく、倭寇の大ボス王直が橋渡しになって、ポルトガル商人が新しい武器を必要としていた戦国時代の「黄金の国・ジパング」に鉄砲を売り込みに来た、という話も、面白かったです。
この本が出版されたのが2001年なので、政治的な話題で古くなってる部分もありますし、もしかしたら、新しい研究がまた出て来て、新しい理屈を構築し直さなくちゃいけない部分も、井沢さんにはあるかもしれませんが、10年経っても、日本の政治ってかわってね〜な〜と思うことも。
まあ、それはこの本の趣旨じゃないとは思いますが、いかようにも読み取れる表現を使うところが、井坂さんの謀略家めいたものをかんじたりもします。
本能寺焼き討ちといった、ひどいことをした信長が、案外宗教に寛容だったという話は、じつは神田千里の「宗教で読む戦国時代」って本で読んだことがあるので、さほど目新しくは感じませんでしたが、豊富な知識をうかがわせるタッチの論文が続いていて、飽きませんでしたね。
次の10巻も借りてきたので、読んでみたいと思います。