歴史秘話ヒストリア土方歳三
歴史秘話ヒストリア」は、時々事実誤認というか、演出のために事実をねじ曲げる傾向があるので、本を読んだりして確認しなくちゃいけない部分があるんです。
 今年の一月二十五日に放送した、「井原西鶴」の話でも、矢数俳諧の数について、ライバルたちの作った俳句の数がフィクションであることを言わなかったり、出家したことと作家活動を開始する時期が違っていたり、こまかいところが違います。
 西鶴の人生をストーリーにするために、事実をちょっとゆがめるのは、ノンフィクションを売りにしている番組としてどうなのよ、と思う。

 ヘレン・ケラーの話だって、わたしも自伝は読まなかったけど、なにかの本で、
 ヘレンとサリバンがサーカスで見世物になり、障がい者への理解を深めようとしたって話もありますが……。
 さすがにテレビでそういう話を放送すると、ヘレンの評判に傷が付くかもね。
 文字で読むのと、テレビで見るのとでは、やはり受け取り方は違うでしょう。
 

 今回の土方さんの記事も、ほんとうかなと思うことがありました。
 わたしの読んだ「燃えよ剣」では、土方さんと近藤さんが対立して、近藤さんが罠にかかって殺されたような書き方をしていました(たしか)。
 「燃えよ剣」は、昭和の小説ですから、その後新しい事実が出てきたのかもしれませんが、話を面白くするために、わざと事実を変えた可能性もあり、「あとで調べなくちゃ」とか思ってしまいます。

 ドラマにするために、事実が変わってしまう事って、よくある話なんですけどね……。
 大筋で間違ってないんだから、いいではないか、という問題なのかな……?
 テレビで手軽に偉人の過去を学べ、りっぱに娯楽作品になってるという点では、「歴史秘話ヒストリア」はいい番組なんですが、それだけで終わったら、事実誤認のまま、生兵法で歴史を認識するってことになりかねない。

 見た目が派手だし、わかりやすいし、わたしも好きな番組なんですが、
 それが必ずしも歴史への深い理解につながるかっていうと、そうでもないかもしれない。
秘話っていう言葉を使うこと自体が、すでにセンセーショナルな色を感じます。

入門にはいいけど、まじめに歴史をやってる人にとっては、痛し痒しなのかもしれないなと思う、今日この頃です。