宮本武蔵 4

宮本武蔵(四) (吉川英治歴史時代文庫)

宮本武蔵(四) (吉川英治歴史時代文庫)

宮本武蔵 4 吉川英治
(ストーリー)
 宿敵吉岡一族(数十名)を相手に一人で戦い、これに勝利した武蔵は、ある日富士山を見てその偉大な姿に打たれ、芸術に目覚める。ところが、吉岡の当主(少年)を殺したことから、小次郎になじられてしまった。
 そんなことをしているうちに、巡り会ったお通や城太郎ともはぐれてしまい、さびしさのあまり彼は新しい弟子、伊織を道中に加えるのであった。
(感想)
 剣に生きたというか、ここまでくると狂気がほのみえたりします宮本武蔵。その彼に、一緒に江戸に行こうと誘われて、結局ふらふら女に引かれてしまう又八が、わたしにはツボでした。この二人、ほんとに対照的です。
 武蔵は、観音像を作ったり、田畑を開墾したり、いろいろ建設的なことをやってるのに対して、又八は、武蔵に感動したと思ったら小次郎の揶揄をまともにとって武蔵に対して敵意を募らせたりというふらふらした状態。せっかく武蔵が親身になってくれてるのに、心の弱さから、敵意を募らせてしまったり。
 ああ、いるよねーこういう人。
 武蔵の方も、弱いところがある。道すがら出会った人からお金をもらって、使わざるを得ない状況になったり、有り金全部をお通探しに費やしたり、なにやってるのかと思うこともありますが、こういう弱さがあってこその武蔵なのでしょう。
 人間として完璧じゃないからこそ、強くなれる。
 逆説的ですが、そんな風にも思いました。