宮本武蔵 3
- 作者: 吉川英治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1989/11/01
- メディア: 文庫
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(ストーリー)
一流の剣士達をかかえる吉岡流。その当主が武蔵に敗れた。右腕を奪われた彼を見て、弟が復讐を誓うが、逆に武蔵にやられてしまう。
一方、佐々木小次郎を名乗っていた又八は、小次郎本人と剣を交えてしまう。
本物の前で堂々と、「佐々木小次郎だ」と自己紹介した彼……(笑)
殺すに値しないと、又八は、お情けで命を長らえることになる。
一方、又八の元婚約者お通は、武蔵恋しさのあまり、病気になってしまっていた。
(感想)
このストーリーのおもしろさは、王道を歩いている武蔵と対照的な、又八のいきざまにあるんじゃないかなと思うんです。武蔵が有名になればなるほど、いじけて武蔵がしくじることを願う又八の姿は、よくある人間のありようってかんじで、興味があります。
弱い人間なのよ、又八。
そういうどうしようもない人間にも、暖かなまなざしを忘れない、吉川さんの筆はなかなか人情的ですね。
一方で、そんな情けない又八に、殺されかけるお通さん。
お母さんにそそのかされたからって、殺そうとする又八も又八ですが……。
お通さんも、これで行くところがなくなってしまって、不幸ですね。
あと、鉄砲やら弓やらが狙ってる中を、決闘に赴く武蔵。
どうなるのかは、次巻を待てってところです。
うまいねー吉川さん。
乾いた口調なので、血なまぐさい描写があっても、胸焼けすることがないのは助かります。
光悦とのやりとりは、そんな血なまぐさいシーンのなかの、一輪の花のようでした。