燃えよ剣 (下)

燃えよ剣(下) (新潮文庫)

燃えよ剣(下) (新潮文庫)

燃えよ剣(下)』司馬遼太郎
 宿敵・七里から一度は殺されかけた土方だったが、いったん生還。逆に彼を襲って殺し、その背後に伊東がいる証拠を手に入れた。時代はどんどん、新撰組に不利に働いていく。「ここまできたら、もう攘夷とか開国とかじゃない。男の美学の問題だ」
とする土方に、ついていけない組員たちの脱走が続く。とうとう古くからの盟友は、近藤だけになってしまった土方は、しかし、近藤ともまた、別れなければならない時が迫っていることに気づいていなかった。
(感想)
 土方って、狂気の人で、はっきり言って愚か者だなと思ってたんですが、最初から最後まで、スジはとおってますよね。自分の価値観をしっかり持ってて、それに合わないとメッタ斬り。最後の最後まで、抵抗を続けて……。北海道まで行ってしまうという……(汗)
 こういう人にはなりたくない(いや、なりたくてもなれない)というタイプの人でした。
 それもあるんですが、土方の周りの人々も、個性的です。
 近藤とか沖田とかお雪さんとかが印象的でした。
 男の美学で自殺行為を繰り返す。
 時代って、おそろしいですね……(滝汗)
 この土方を、善人とも、悪人とも描いていない司馬せんせ。
 時代に対するクールな視線が、あいかわらず印象的でした。