司馬遼太郎さんによる、日本が近代化して列強諸国と肩を並べるまでになっていくまでの歴史群像物語です。

いやー、ロシアに対して非常に厳しい意見を吐いてますね。事実、ロシアはしなくていいけんかを日本にふっかけた上に負けちゃったので、言われてもしょうがないところがあるような気がしますが、冷戦時代に書かれたという時代背景を考えると、司馬さんのこの作品には、たぶんに「西側」を意識したものだと言えるんじゃないかなと思います。


列強に肩を並べようとする日本への、人種偏見についても触れていて、ほかの作品でもそれと同じ論説を読んだことがあったので、
「司馬さんが先に言い出したことなんだ」とわかりました。他の作家にも影響を与える作品だったようですね。


筋立ては、子規の死からロシアへの和平交渉、そしてロシアとの戦いになっていくというもので、戦争ものはあまり好きじゃないわたしとしては、子規が亡くなったあたりで、もう読むのをやめようかと思ったほどでした(笑) でも最後まで読んで良かったです。


最後まで読んでも、まだこの作品は終わってませんが、少なくとも明治の男やロシア皇帝と側近たちの気概や考え方がわかるという点で、面白い作品だと思います。
この本を読めば、近代戦争というものは、どうやって行動すると勝てるのか、ということがわかります。それだけでなく、いい上司を持つことがいかに重要か、ということもよくわかります。
西郷隆盛の親戚まで出てきますが、東郷平八郎については、多くを語ってませんね。トルコではビールの名前になるほど有名なんですが。。。


苦言を言うなら、子規が死んでしまったので、登場人物は軍人ばかり。もうちょっと文芸的に絡めてほしかったです。