「竜馬がゆく (6)」司馬遼太郎

司馬遼太郎目線からみた竜馬伝の続きです。
今回の主要登場人物は二人。


薩摩藩に、さんざん煮え湯を飲まされた長州藩の知恵者、桂小五郎と、かれと講和をむすぶに至る西郷隆盛
あらすじは、刻々と倒幕の気運が高まる時期に、竜馬が思想の違いではなく、利益を共有することで薩長の手を結ばせ、自らも軍艦を手に入れて幕府と戦う、というストーリー。


血なまぐさい話が続くので、わたしとしてはあまりこの六巻目は好きになれないのですが、竜馬の歴史的功績の第一が薩長連盟の実現ですから、これを避けることはできません。


池田屋で幕府側に暗殺されそうになって、親指を切ってしまうシーンは、げんなりしてしまいました(わたしは殺し合いや傷つけあいは、あまり好きじゃないんです!)


それでも、薩長をむすぶために、桂小五郎の談判からいきなり西郷の屋敷にとんでって、
「長州がかわいそうじゃ!」
と叫ぶシーンは、いままで読んできた中でもインパクトの強いシーンだ、と思いました。


司馬遼太郎は、このシーンのためにこの話を書いた、と書いており、その言葉の通り、力の入った描写だと思います。
最近、「坂本竜馬のすべてがわかる本」(風巻紘一)や、「坂本竜馬とその時代」(佐々木克)を読んでるんですが、司馬遼太郎とはまた別のアプローチをしており、「お話」としての竜馬にも、いろんな切り口があるんだなということがよくわかりました。


竜馬が、米がなくて困ってる薩摩に、長州が米を売り、そのかわり長州は薩摩から武器を買う、という案で薩長をつなげてしまう発想が、周りは「勤王」「開国」「攘夷」「鎖国」しか言ってない状況下で考えつかれたというところが、柔軟で視えるものが全然違うんだな、と思いました。