「竜馬がゆく (5)」司馬遼太郎

司馬遼太郎目線からみた竜馬伝の続きです。
今回の主要登場人物で、西郷隆盛が出てきます。

西郷と竜馬の考え方の対比が、面白かったですね。

「命も要らず、名も要らず、官位も金も要らぬ人は、始末にこまるものなり。この始末にこまる人ならでは、艱難(かんなん)を共にして国家の大業は成し得られぬものなり」

 という西郷のセリフに対して、竜馬のセリフとして、

「世に生を得るは事を成すにあり。人の事跡(あと)を慕ひ人の真似をすることなかれ」
 とか言ってるというお話。

そして死生観についても、西郷と比較していて、

「牛裂きに逢ふて死するも磔に会ふも、又は席上にて楽しく死するも、その死するにおいては異なることなし。されば英太なることを思ふべし」

とか、

「われ死する時は命を天に返し高き官へ上ると思ひ定めて死を畏るるなかれ」(P260)

 と書いてありました。
 彼なりの宗教観というものが、ちょっと見えたなという印象はあります。やっぱ竜馬も信仰心があったのね。