「竜馬がゆく (2)」司馬遼太郎


司馬遼太郎目線からみた竜馬伝の続きです。
今回の主要登場人物は三人。

竜馬が兄弟同然に気心の知れた武市と、ひょんなことから「拾って」しまった公卿侍水原播磨介、脱藩するときに刀をくれた竜馬の姉のお初さんです。


三人目は、実は、脱藩のヒントを与えた久坂にしようかと思ったんですが、久坂にはドラマがなさそうだなと思い、選考から外しました。


あらすじは、剣の道に夢中になっていた竜馬が、江戸への無銭旅行を敢行したときに邂逅した水原播磨介の死様をみて、はじめて剣客という仕事よりも大きなものがあることを実感、勤王派の武市に師事して中国史をまなび、教養を身につけたあと、さまざまな経験を積んだ結果武市と決別。脱藩するという筋立て。


史実を調べてわからないことはわからない、と正直に書いたうえで小説を書く。ノンフィクションという形をとっているからといって、史実に馬鹿正直でいるわけでもなさそうだな、という印象を持ちましたが、この率直さはなかなか出来ることではないので、感服しました。さすがに有名なだけはある。


その当時の時代の常識や宗教観(儒教)などに触れている部分は、興味深いなと思いました。列強の政治(選挙や憲法)について竜馬が知るにいたる経緯も面白かったです。


一つ気がついたんですが、そういう時代とはいえ、正面から戦う! という武士の感情に対しては、「それならゲリラ戦を、考えなかったの?」。太平洋の補給地としての日本、というのが列強の思惑なら、正面からやっつける必要はないような気がする(後付の理屈でしょうけれども)。


米国が強硬になったのは、幕府の対応の悪さ(モーリス・アンダーソン号事件)も一因。でも、そのことは書いてないのも不満でした。

新装版 竜馬がゆく (2) (文春文庫)

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