司馬遼太郎の「竜馬論」を研究した本です。

 武田鉄矢さんによる司馬遼太郎から見た竜馬伝の感想というか、研究ですね。
 残念なことに、司馬遼太郎からの引用が多くて、オリジナル視点がほとんどないというところがありますが、竜馬がものすごく好きだということはよくわかりました……(笑)
 もちろん、司馬さんからだけでなく、他の人の影響も受けてることは、作中に書いていることは書いています。ただ、圧倒的な量がちがう。ここのこの箇所がこういい、とか、こういうところは創作だけど、竜馬が言いそうだとか……。
 後半になると、それが別な人からの引用文も増えてきまして、
「竜馬はなぜ、竜馬だったのか」
 という武田さんの問いに答える形になってます。 
これだけ好きだったら、もう、なにもいうことはないなあ、とちょっと竜馬がうらやましかったり。でも、人の褌で相撲を取っちゃいけませんね。
 武田さんのオリジナル視線があるとしたら、
「教育と恋は似ている」
 というところかもしれません。どちらも謎があってはじめて開花するものだそうです。
 なかなか、面白い視点。ただ、それと竜馬の恋の記事が、微妙にかみ合ってないところがなんとも(笑) まあ、かれは教育者じゃないから。
竜馬は「敵を作らない」方法で世の中を渡っていったという説を唱えています。だとしたらなぜ暗殺されたのか。敵がいるから暗殺されたんでしょうと思うんですが、その辺もあまりツッコミがなかったようです。
 それにしても、ひとりの作者の描いた竜馬像を、こんなふうに熱っぽく語る人って、めったにいませんから、その意味では勉強になりました。もっとこの作品を研究したいとも思いました。


私塾・坂本竜馬

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