竜馬の伝説と史実をはっきり区別して書かれていると思われる書物です。

 びっくりしたのは、司馬さんの採用した竜馬の過去のいくつかが、坂崎紫潤の「汗血千里駒(かんけつせんりのこま)」からの創作だという指摘です。
 具体的には、「竜馬の背中に馬のごとき毛がはえていた」「十代になっても寝小便のくせがあった」「見込みがないと言われて寺子屋を一日で退学させられてしまった」「剣の修行をはじめてようやく人間が変わった」(P28)という記事。
 知らなかった! これらはすべて創作だったのか〜!! 
 この本の面白いところは、竜馬が時代によって評価が正反対である事実を述べているところでしょう。日露戦争のときには、その戦争を勝利に導くために、「死を以て護国の鬼となる」という詩をささげられるような竜馬が、昭和にはいると民主平和革命運動のリーダーと目されるようになる。
 このあたりの研究もなかなか興味深いです。
 こういう事実を、加来さんは、どのように調べたのでしょうか。
 ちょっと彼の書棚を除いてみたいなーと思ったりもします。
 

龍馬の謎―徹底検証 (講談社文庫)

龍馬の謎―徹底検証 (講談社文庫)